STORY

※気が向いたらもっと詳細を追記します。


2018年夏。札幌市では殺人マシーンと化した少女たちによる連続殺人事件が多発していた。この事件は「篝火乙女事件」と呼ばれている。

そんなある日の事。ケウトゥムハイタで暮らすアスカ、ユリ、アヤ、ヤマトの四人は窮地に陥っていた。

何故なら彼らが所有する未来予測が可能なソフト「篝火乙女」が、篝火乙女事件の次の被害者はユリになると予測したからである。

アスカたちは死を回避しようと行動に移すが、彼らの裏では世界の命運を決める戦いが始まっていた。


事件の裏にはこの世に存在しないはずの超越的なナノボット、桁外れの性能を誇る量子コンピュータの影が見え隠れしているのが現状である。

しかし真相に気がついている者はほぼゼロであった。なぜなら誰もが加害少女の写真をネットで検索するのに一日を費やしていたからだ。

人間はビタミンよりも他人の不幸を率先して食らい尽くすクズであり、常識の外に飛び出す勇気を持たない腐った肉の塊に過ぎない。

世界は篝火乙女事件という大イベントで盛り上がっていた。世界は事件をイベントと捉える事しか出来ない低能で溢れていた。

誰も、篝火乙女事件の恐ろしさに気がついていなかった。


篝火乙女事件の第一被害者は稲穂南海香という人類史上稀に見ぬブス女であり、稲穂は同人サークル「アイカプクル」のリーダーであった。

ヤマトとアヤも一時期はアイカプクルで活動をしていたが、
二人で制作した「アリアンロッド」というゲームの権利も売り上げも何もかも稲穂に奪われてしまった。

彼らにとって稲穂は因縁の相手だった。そして、生前アヤの事を「篝火乙女」と称した人物でもあった。


篝火乙女事件の加害者と被害者は、稲穂南海香を除く全員がアムリタ・ハントというカルト組織のメンバーが対象となっており、
アムリタ・ハントはアヤの父親が教祖をつとめていた。

アイカプクル。アムリタ・ハント。篝火乙女。

篝火乙女事件がアスカたちに関係している事件だというのは間違いなかった。

事実として、彼らは篝火乙女がユリの死を予測した日から、篝火乙女事件の魔の手にひたすら追いかけられる事になるのだ。


アスカたちは篝火乙女事件に巻き込まれていく日々を送る中で、徐々に世界の真実に気がついていく。
いや正確に言えば、彼らは最初から全てを知っていた。

やがて篝火乙女事件が行き着く所までたどり着いた時、彼らは全てを思い出す。それは世界の真実と陰謀の全てが明るみになる事と同義だった。


篝火乙女事件が終焉を迎えた時、世界の命運も決着する。

そして、世界の命運がどんな転び方をするのかは全てアスカに委ねられている。

篝火乙女事件は世界の行く末とユートピアに結論を与える物語であり、その中心に立つ少女の特異点は人類最後の爆弾なのだ。

ユートピアを巡る物語が始まってから 98 年目。西暦 2063 年に動き出した物語は、否応なしに人類をエデンの園へ導いていく。


しかし、大多数の人間は世界が揺れ動いているなんて夢にも思っていない。

この星が挫折と絶望で溢れているという事実から目を背け、
自分のケツから溢れ出るクソに何の価値も詰まっていないという悲しい現実を見ようともしない。

そういったクソ野郎たちが生み出す世界にユートピアは訪れない。それ故に篝火乙女事件は起きるのだ。

科学が頂点に達した時、自動的にユートピアは訪れるのか?

そんな訳がない。冷静に考えてみれば分かるはずだ。どれだけ技術が進歩しても、人間が進歩しなければ全く意味が無いという事に。


これは、シンギュラリティの訪れをうまく受け止められなかった人類の黙示録でもある。


一年間にテロの影響で亡くなる人間よりも、交通事故で亡くなる人間の方が遥かに多い。

当たり前かつ深刻な問題だが、誰もそんな事は気にかけない。

このように本質を理解出来ない人間が多数であり、本質を理解しない生き物は幸せな生き方すら見つけられない。

ツイッターのフォロワー全員がある日突然完璧な AI に成り代わったとして、果たして気がつく人間は居るだろうか? そもそも気がつく必要はあるのだろうか?

クローンや AI を否定する人間は必ず「道徳的にダメだ」と言うが、彼らの脳みそには「道徳」という言葉しか入っていないのか?


これからの時代、先進国に必要なのは強い AI や量子コンピュータ、優れた非産業用ロボットである。
しかし日本にはファックスを愛してやまない古代人が大勢存在する。


どいつもこいつも口を開けばいつか人工知能が暴走して人間を滅ぼすだろうと言う。

人工知能よりも愚かな人間の方が恐ろしいとは思わないのか? 量子コンピュータを悪用した方がひどい結末を迎えるという発想は出てこないのか?


超越的な世界が訪れても、そこで暮らすのはキーキー騒ぐ低能な猿だ。それではユートピアは訪れない。

それならば全人類の脳みそを改造して優秀な人間を作り出すか?

そこに本質は必要か? 道徳は必要か? 母親の腹から産まれる事にどれほどの価値を見いだす?


なぜ、彼女たちの体はバラバラになったのか。

なぜ、彼女たちは灯油を飲まされたのか。

なぜ、彼女はレイプされたのか。

なぜ、彼女はリンチされたのか。

なぜ、彼らは洞窟で暮らしていたのか。


相聞歌凛音は夢想していた。私が結末になろうと。


「中世の時代、人間の平均寿命は 35 歳程度だった。しかし現代では余裕で 100 歳を超える人間がいる。
でも人間の遺伝子情報は太古の時代から全く進化していない。人間はただイタズラに寿命を延ばしただけ」


「頭も体もヨボヨボになった人間はどうやって幸福を掴み取れば良いんだ? 餅を食べるだけでも生きるか死ぬかの覚悟が必要なんだが」


「ねぇ。ブスでも生きていける世界と、ブスじゃ生きていけない世界、どっちが正しいと思う?」


「バカでも生きていける世界なんて欲しくない。稲穂みたいなバカがへらへら笑える世界に意味も価値も見いだせない」


「私はね、佐伯可奈子の星を守るために頑張ってんの。それだけだよ」

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